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全身への影響

歯を失うことの全身への影響

歯を失うことの全身への影響

歯を失う原因のトップは歯周病です。

むし歯に比べ自覚しにくいこともあり、ようやく歯科医院に訪れたときには歯の保存が不可能な状態まで悪化しているようなケースも少なくありません。

多くの研究から、失った歯の数が一定のラインを超えると、ものをかむ能力の著しい低下が見られることがわかっています。それが、80歳で20本の歯を残そうという8020(ハチマルニイマル)運動の論拠ともなっています。

すなわち、20本より少なくなると、食べ物をかむことが不自由に感じる人が増え、そのことにより食べるものに偏りができ、生活習慣病を招いたり、低栄養を招く可能性があります。そのほか、「かむ」ことが視覚や聴覚、記憶力等にも影響を与えるともいわれ、かめる歯を残すということ、そのこと自体が全身の健康維持にもつながるのです。

※財団法人8020推進財団:永久歯の抜歯原因調査報告書;2005.3
※吉武裕:高齢者の体力と口や歯の関係,口腔と全身の健康との関係II;財団法人8020推進財団,東京

歯周病の全身的な影響

プラーク中など口の中に存在する細菌はさまざまありますが、歯周病原菌は、血液中や粘膜の上皮や血管の内皮などからも侵入して増殖することができるため、血流に乗って全身に疾患を引き起こす危険性をもっています。

たとえば、心筋梗塞で亡くなった方の冠状動脈から歯周病原菌が検出されたり等、口以外の場所の病巣で検出されるケースも少なくありません。さらに、歯周病原菌の毒素は、菌が生きていなくても血中にあると全身に炎症を起こすこともあるため、さまざまな角度から研究がすすめられています。

また、心臓や血管以外にも気道に入り込み呼吸器系の感染症(肺炎など)を引き起こしたり、糖尿病におけるインスリン抵抗性や子宮の収縮による早産、低体重児の出産などにも関連深いことがわかってきています。

歯周病は、口の中だけの問題ではなく、命にも関わる全身的な疾患にも影響することを認識したいものです。

歯周病の診断


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【出典資料】
花田信弘先生監修『発展していくMI QOL向上のために歯科医療にできること』株式会社ジーシー
『デンタルなぜ?なに?Part2 歯周病編』GC友の会