さまざまな調査の結果などからみても歯科医院を受診していない人々にも口腔の悩みはあるようです。
健康観もそれぞれなので、患者自身自覚していない不健康な部分もあるでしょう。
定期的な口腔健康診査を受けることこそ、口腔の悩みや不安の解決の第一歩であることは確かです。
しかしながら、前頁にも示したように定期健診の重要性を理解しながらも受診していない人が多い現状があります。
厚生労働省による平成17年の患者調査の傷病分類別の推計患者数をみると、第1次予防的(定期健診やプロフェッショナルケアを含むその他のサービス等)に歯科医院に来院する『検査・健康診断、その他の保健サービス』は、わずか全体の0.7%に過ぎません。
そのほとんどがう蝕をはじめとする口腔疾患の治療のために来院しているのがわかります。
また、歯並びを悩みに挙げている人が多い(12ページ及び35ページ参照)にもかかわらず、矯正治療を受けている人は増加傾向にあるとはいっても全体の1.9%程度にとどまっています。
これらの原因については健康保険制度の影響もあると思われますが、国民のニーズや理想と歯科医療の現状に大きなギャップがあることが示唆されます。
多くの国民が定期口腔健康診査を受けることができる状況、そして積極的に口腔の悩みや不安の解決に気軽に歯科医院を受診できるような基盤を作ることが今後のオーラルヘルスプロモーションの課題とも言えます。