『健康』の概念はWHOで定義されていますが、さまざまな研究者などによる解釈があります。
また臨床で患者に接する医療従事者にも、歯科に限らずそれぞれの分野での健康観があることかと思います。
そして医療従事者ではない一般の国民にも、それぞれ異なる健康観や健康意識があると思います。
自分自身が『健康』だと思っている人の中にも悩みや不安を抱えていたり、実際に医療従事者からみれば明らかに『健康』でなくても本人は『健康』と思いこんでいる場合もあるでしょう。
特に歯科はさまざまな先入観から敬遠される場合もあるため、出血や痛みなど自覚症状があっても、実際には歯科医院受診までにはいたらない人も多いという現状もあります。
どこまでが健康でどこまでが健康でないのか、きっちりと線を引けるものではありません。
ここでは健康な人もそうでない人も含めて、すべての国民という視点で捉えていきたいと思います。
健康・体力づくり事業財団による国民意識調査では、78%もの人が自分が健康だと感じている(非常に健康だと思う、健康なほうだと思うの合計)にも関わらず健康に不安を感じている人は79.5%にも及び、そのうち歯の健康が不安と答えた人は20%以上もいました(図 国民の健康に対する不安感)。そして現在の健康状況や健康づくりといったものが、老後の健康に影響があると思っている人が90%近くもいながら実際に老後の健康に備えて何かしている人は40%にも満たず、意識だけが先行している現状がみてとれます。