QOL向上のために歯科医療にできること:MI21.net

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ガイダンスからカウンセリングへ

これまで医療従事者が一般に行っている保健指導や健康相談は、患者に対して医療サイドからコンプライアンス(指導に対する遵守、適応性)を求める性質を持ったものが多かったと思われます。
もちろん、その指導は患者の健康状態や検査結果などに基づく専門家としての指導なのですから、それに従ってセルフケアなどを行なってもらえれば患者の健康状態は良い方向に進んでいくことでしょう。

しかし、専門家である歯科医師や歯科衛生士の言うことであるからと患者が受動的に受け入れ、従っているだけではなかなか継続も難しく、来院しなくなる場合もあるかも知れません。

医療従事者からの「一方向の指導(ガイダンス)」ではなく、患者の話をよく聴き、共感し、患者自身の真のニーズ引き出し、かつ適切に受容し、患者が潜在化した問題に自分で気づくように導いていくことで、健康的な選択をすることができ、保健行動の変容と継続を促すことができるのです。
それには患者とのカウンセリングによる「双方向のコミュニケーション」が非常に重要です。

ガイダンスとカウンセリング
ガイダンスとカウンセリング

※宗像恒次: 歯科医師のためのヘルスカウンセリング−患者の隠れたニードを知る−;日本歯科医師会誌51,No.11,23-30,1999

カウンセリングマインド

カウンセリングテクニックを患者との対応で生かすために必要な聴き手側の基本的な姿勢があります。
『観察』『傾聴』『確認』『共感』の4つの基本姿勢(カウンセリングマインド)です。
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最近よく耳にする「コーチング」もカウンセリング同様、患者の目標の実現や問題の解決方法を導きだす双方向のコミュニケーションです。カウンセリングをマイナスからゼロへ、コーチングをゼロからプラスへ、また前者を過去から現在へ、後者を現在から未来へ、と表現する場合があります。
目標設定をゼロとするならば、患者の言葉に耳を傾け『傾聴』し、言いたかったことを受けとめ、そして患者が処理しやすいポイントをとらえて『共感』的に返して『確認』することを繰り返すことで、自分のつらさや怒りなどをわかってもらえたと感じ、楽になったり、癒されたり、また感情を明確化することで患者も気づかなかった真のニーズ(要求)に気づくことにもつながっていきます。そしてその「気づき」から目標を見つけ、行動変容に導くのがカウンセリングです。
患者自身がまず目標設定を行ないやすいよう導き、行動変容につなげていくのがコーチングといえるでしょう。これらは、患者自身が真のニーズや問題に気づいているかいないか、ちょっとしたサポートで自分自身で目標設定ができるのか否かといった状況によって異なりますので、患者それぞれに応じた手法をとるのがよいでしょう。

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