これまでにも述べましたが、歯科医療従事者の考える理想の治療法が、必ずしも患者の考える理想(ニーズ)と同じとは限りません。
患者が通院をやめてしまったり、転院してしまう理由として、インフォームド・コンセント(説明と同意)が充分でないと思われるケースも多く、また説明をきちんとしていたとしても、歯科医師が「こうするべき」という対処に疑問を感じたままその治療を甘んじて受けてしまったりした結果、起きてしまうのではないでしょうか。
患者もまだ来院したばかりの段階では知識も乏しく、どうしていいかわからないケースも多いかと思います。
そのため、患者自身どうしたいのか、真のニーズに気づいていない場合もあるでしょう。
近年『セカンド・オピニオン( 第2の意見)』という言葉をよく聞きます。
これは患者が主治医以外の医師など複数の意見を聞き、1人だけの医師や歯科医師の診断に委ねず、患者自身が納得できる治療を受けようというものです。
アメリカ等では定着しているこの考え方も、日本では主治医に対する遠慮からか、なかなか普及していないのではないでしょうか。
それでも数年前から注目されはじめ、実際セカンド・オピニオン外来を設ける医療機関や歯科でも積極的に取り入れている歯科医院も増えてきました。実際にセカンド・オピニオンや総合病院などへの紹介(診療情報提供)による病診連携や介護保険との体制づくりを国も支援しています。
今後は、患者自身がしっかりと理解して納得したうえで、患者自身が健康的な選択をできるように導いて行くことが重要だと思います。
そのためには、歯科医院に(特に初めて来院する場合)ある程度身構えて来院してくる患者の心の壁を取り除き、患者自身も気づかない真の悩みやニーズを引きだし、そのうえで一緒に治療の計画を考えていく姿勢が大切です。