プライマリーヘルスケア(primary health care)とは、1978年にWHOが発表した考え方で「2000 年までにすべての人に健康を」(40ページ参照)との目標を受け従来のプライマリーケア(疾病の初期治療、第1次医療)に加えて健康診断・予防接種などの保健サービスを含む総合的な対応のことをいいます。
歯科医院での取り組みとしては定期健診はもちろん、初診時や診断のための各種検査において多方面からの情報収集を行ない、リスクファクターを顕在化させさらには通常時の状態の把握を行なうことによりその変化を見極めていくことが適切な対応に必要であると考えられます。
また歯科においても従来から口腔の定期健診、フッ化物塗布などの予防処置が行なわれてきましたがより専門的に、そして口腔だけでなく全身疾患の予防・改善、初期症状の発見など口腔を含めた全身の健康の担い手として歯科医院が機能し必要があれば医科の総合病院、一般開業医等への紹介を行うという健康管理の拠点として積極的にかかわっていくことが歯科医院の可能性として期待されています。
予防の段階と検査目的
段 階 | 検査目的 |
第1 次予防 健康増進・特異的予防 |
モチベーションのための検査 (主として生化学検査) |
第2 次予防 早期発見・即時処置 障害の進行阻止 |
スクリーニング・診断のための検査 (生化学検査および細菌検査) |
第3 次予防 機能回復 |
モニタリングのための検査 (主として細菌検査) |
WHOステップワイズアプローチ
※花田信弘, 鴨井久一:唾液検査の使い方と基準値:鴨井久一, 花田信弘, 佐藤勉, 野村義明編:Priventive Periodontology;361-364, 医歯薬出版, 東京,2007