Leavell & Clark の「疾病の進行を最小限にとどめて、それ以上の進行を予防する」という考え方は「病変の進行(侵襲)と処置による侵襲を最小限にとどめ、それ以上の進行を予防するために、正確な診断により適切な口腔健康管理を行なう」というMIの考え方にも通じています。
それでは、前頁の予防の3相と5つの予防手段にジーシーの提唱するMIコンセプトに基づいて口腔疾患への対策を当てはめ第2次予防のうち早期診断と即時処置を分けて考え、予防手段を6段階で考えてみたいと思います。
まず第1次予防とは、発症前の健康な人々(Public)を、第2次予防と第3次予防は発症後の患者(Patient)を対象としています。
そして口腔内の悩みは、健康な人もそうでない人にも数多くあります。
予防手段 | 疾病のレベル | 対 策 | ||
第1次 予防 |
健康増進 | 主に公衆衛生的な指導 | 公衆衛生活動、衛生指導、生活指導、食事指導、歯科健康診査 (3歳児歯科健診や産業歯科健診等国民が受動的に受けるもの) |
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特異的予防 | 自発的に行なう予防 | 定期健診(個人的に通うもの)、各種リスク検査、フッ化物塗布、PTC、シーラント、予防矯正(非抜歯)、予防充填、予防的除石、歯口清掃、砂糖高含有及び粘着性食品の回避、その他予防に配慮した生活習慣 |
第2次 予防 |
早期診断 | 各種診査検査 | スクリーニングのための歯科検診(学校検診など)、主訴や症状に合わせた各種精密検査(視診、触診、X線診断、ダイアグノデントによるレーザー蛍光診、歯髄電気診査、プロービング検査、動揺度検査、顎機能検査、咬合力測定、細菌検査など) | |
即時処置 | 初期病巣への処置 | 患者の要求に配慮した最小の侵襲での処置 歯質への最小限の侵襲 (歯質の最小削除、再石灰化処置や経過観察等) 歯周組織への最小限の侵襲 (ディプラーキング、歯周デブライドメント、SPT等) |
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障害の 進行阻止 |
病巣の進行阻止 | 患者の要求に配慮した最小の侵襲での処置 歯質への最小限の侵襲 ( 歯質の最小削除、最小限の根管拡大、レジンコア、非抜歯等) 歯髄への最小限の侵襲 ( 覆髄、LSTR等)、 歯周組織への最小限の侵襲(外科的侵襲縮小、再生治療等) |
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第3次 予防 |
機能回復 | 機能回復 | 患者の要求に配慮した最小の侵襲での欠損補綴 歯質・歯周組織への最小限の侵襲 (1本義歯、単独植立インプラント、接着ブリッジ、 メインテナンスしやすい義歯、適合調整、定期管理等) 補綴物への最小限の侵襲( 破損義歯の修理等) |