Dictionary
さ行
細菌 | 微生物の一つで、形態により球状、棒状、らせん状のものに大別され、それぞれ球菌、桿菌、らせん菌と呼ぶ。さらにグラム染色によりグラム陽性菌とグラム陰性菌に分けられる。う蝕に関連のある細菌としては、グラム陽性菌のミュータンスレンサ球菌、ラクトバシラス(乳酸桿菌)などが挙げられる。歯周病関連菌としてはグラム陰性菌が多い。 関連→ミュータンスレンサ球菌、ラクトバシラス菌、乳酸桿菌 |
---|---|
最小限の切削 | MIに基づく修復処置を行なうにあたっての原則的事項。う蝕の状態や個人のリスクなどを把握した上で必要最低限の切削による窩洞形成を行ない、フッ素徐放性のある接着性材料などを用いて充填を行なう。 関連→最小の侵襲 |
最小の侵襲 | 2000年、FDIが提唱した新しい予防的な治療の概念。具体的には、う蝕のメカニズムを理解したうえで、正しい診断による治療計画に基づき、できるだけ歯質の侵襲の少ない処置を行うというもの。 同→ミニマル・インターベンション、Minimal Intervention 関連→ミニマム・インターべンション、MI、FDI |
再石灰化 | 一度脱灰した歯質に唾液中のカルシウムイオンやリン酸イオンなどが再び取り込まれて石灰化すること。唾液の緩衝作用などにより酸性になった環境が中和され、唾液中のカルシウムイオン及びリン酸イオンが過飽和になると、歯質に再びイオンが取り込まれる。その際、フッ化物イオン(F-)が存在すると、より結晶性が高く耐酸性のフルオロアパタイトが形成される。 関連→脱灰、唾液、緩衝、カルシウムイオン、リン酸イオン、フッ化物、フルオロアパタイト |
砂糖 | ショ糖(スクロース)のこと。ショ糖とは、果糖とブドウ糖からなる二糖類で、他の糖質同様細菌の酸産生の基質となるほか、ミュータンスレンサ球菌による不溶性のグルカン生成の基質にもなるため、古くからう蝕予防と砂糖制限についての関係について言及されている。しかし、必ずしもその摂取量とう蝕の発生は相関しておらず、その摂取頻度や砂糖の含まれる食品の質の方が重要であることも知られている。 同→ショ糖 関連→ミュータンスレンサ球菌、不溶性グルカン |
酸 | 化学物質の分類の一つ。Brφnstedは、酸はH+(プロトン)の供与体であり、塩基はH+の受容体であると定義している。歯質の脱灰は唾液やプラーク中においてこのH+が増加し、酸性環境になることで溶解していく現象をいう。 関連→脱灰、唾液、プラーク |
ジーシー | 1921年(大正10年)、池袋にヂーシー化学研究所として創業。日本初の歯科材料メーカーとして研究を開始する。 1991年(平成3年)の創業70周年を機に社名を「株式会社ジーシー」に変更、現在にいたる。社名ヂーシー(ジーシー)はGeneral Chemicalの頭文字に由来する。そのため正式社名はジーシーであるがGCとアルファベット表記されることも多い。 社是は「施無畏(せむい)」。個我を離れてお互いに敬愛するなかま集団として行動し、お客様の立場にたち、お客様からみた価値の実現を第一に考えた製品づくりを実践している。 ジーシーの製品は全て歯科医療向けに研究開発・製造されており、一般の方々への社名浸透度はほとんどないといってよい。名前は知られていなくても歯科医療を通じ全世界の人々の健康に寄与していることに誇りを感じる、そういう会社である。 同→GC 関連→MI、ミニマム・インターべンション、Minimum Intervention、プロスペック |
歯科疾患実態調査 | 厚生労働省の行なう承認統計で、日本の歯科疾患の状況及び処置状況を把握するために、昭和32年から6年ごとに実施されている。平成11年に第8回が実施された。 |
歯質接着性 | 歯科材料の物理的性質のうちの一つで、セメント類では、歯質とのキレート結合により接着するグラスアイオノマーセメント、カルボキシレートセメント、接着性モノマーを含むレジン系セメントなどがある。また修復材料としても、前述のグラスアイオノマーセメント、歯面処理やボンディング材の発達により充填用コンポジットレジンも接着修復材料として多用されている。MIに基づく治療において、歯質接着性を持つ材料の選択は重要なポイントである。 関連→グラスアイオノマーセメント |
初期プラーク | 歯面に初期に形成される付着力の弱いプラークを指し、プラーク中の細菌は経日的に変化している。ミュータンスレンサ球菌が関与する前の初期プラークは、う蝕や歯周病に対する病原性は比較的低いとされている。 関連→プラーク、歯垢、ミュータンスレンサ球菌、病原性バイオフィルム |
除菌 | 器械的または化学的に細菌を取り除くこと。医科の消化器領域では胃潰瘍などの消化器疾患の原因といわれるヘリコバクターピロリ菌の除菌治療がスタートしており、歯科においても病原性細菌のコントロールをめざす除菌外来の旗揚げの必要性がさけばれている。 関連→細菌、3DS |
食生活 | 食事や間食の内容やその摂取のしかたなどの食習慣全般。う蝕や歯周病は細菌による感染症であるが、その発症や進行は食生活などの生活習慣によって大きく左右されることもわかっている。 関連→生活習慣病、感染症 |
処置・管理 | ジーシーがMIコンセプトに基づき、具体的な手法として「診断」「処置・管理」「予防」の3つのアプローチに分けたものの一つで、「処置」には、歯質の切削を最小限にとどめた窩洞形成による修復処置、「管理」は処置を終了した歯をすべて対象としたメンテナンス、また処置を行なっていない歯についての経過観察も含まれる。「診断」「処置・管理」「予防」ともに継続して行ない、生涯にわたる健康管理を目指すというものである。 関連→ジーシー、GC、MI、ミニマム・インターべンション、Minimum Intervention、診断、予防 |
ショ糖 | 砂糖の主成分で、果糖とブドウ糖からなる二糖類であり、他の糖質同様細菌の酸産生の基質となるほか、ミュータンスレンサ球菌による不溶性のグルカン生成の基質にもなるため、古くからう蝕予防と砂糖制限についての関係について言及されている。しかし、必ずしもその摂取量とう蝕の発生は相関しておらず、その摂取頻度や砂糖の含まれる食品の質の方が重要であることも知られている。 同→砂糖 関連→ミュータンスレンサ球菌、不溶性グルカン |
診断 | ジーシーがMIコンセプトに基づき、具体的な手法として「診断」「処置・管理」「予防」の3つのアプローチに分けたものの一つで、「診断」は、現在ある疾患の進行を予測するだけでなく、さまざまな角度から総合的にリスクを評価し、口腔全体の状況を正確に把握し、その上で長期的に見た治療計画をたてる。「診断」「処置・管理」「予防」ともに継続して行ない、生涯にわたる健康管理を目指すというものである。 関連→ジーシー、GC、MI、ミニマム・インターべンション、Minimum Intervention、処置・管理、予防 |
水素イオン濃度 | 一般にpHと表記される。水溶液の酸性度をあらわす数値。1〜14で表示され、7.0が中性、7以下は酸性、7以上はアルカリ性(塩基性)をあらわす。口腔内の環境がpH5.5〜5.7前後にまで下がると歯質は脱灰を始める。 同→pH 関連→臨界pH |
生活習慣病 | 厚生省(現厚生労働省)が、従来の加齢に注目した成人病にかわって提唱したもので、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣がその発症・進行に関与する症候群」をいう。う蝕は、細菌による感染症である反面、食生活や日常的な清掃習慣などによって発症や進行が左右される生活習慣病としての側面も持ち合わせている。 関連→食生活、感染症 |
セメント質 | 象牙質歯根部の表面にある硬組織で、歯肉・歯槽骨・歯根膜とともに歯周組織の一つでもある。無定型のリン酸カルシウムの結晶が主成分で、この中に歯根膜からきたシャーピー繊維を埋入している。モース硬度で4〜5°で、硬さ組成ともに骨とよく似ている。 関連→エナメル質、象牙質 |
象牙質 | エナメル質、及びセメント質の内側にある硬組織で、エナメル質に次いで硬い組織である(モース硬度で5〜6°で骨よりやや硬い)。象牙細管と呼ばれる細い管が通っているのが特徴で知覚を歯髄に伝達する役割を果たしている。エナメル質は形成後は、再びつくられることはないが、象牙質は加齢とともに徐々に厚くなる。また、進行の緩慢なう蝕など、持続的な弱い刺激が与えられると、それに呼応して歯髄を保護するように歯髄側に厚みを増していく。これを第二象牙質と呼んでいる。 関連→エナメル質、セメント質 |
咀嚼 | 食物を摂取し、かみ砕き、唾液と混和して食塊を形成すること。これにより、食物の消化吸収率を高めたり、顎骨の成長を促したり、唾液の分泌により口腔内の環境を整えるなどさまざまな役割を果たす。 関連→唾液 |