各界の有識者たちによる内閣官房長官主宰の『新健康フロンティア戦略賢人会議』において『健康国家への挑戦』と題された『新健康フロンティア戦略 』が2007年4月18日に取りまとめられました。
世界一の長寿国である日本ですが、生活習慣病の増加や要介護者の増大などの課題に直面し国民それぞれが多かれ少なかれ自分の健康に問題を抱えている現状において国民自らがそれぞれの状況に応じて健康対策を行なうことが大切であるとし『健康国家への挑戦』のために国民が取り組むべき分野として、下図にある9分野をとりあげそれぞれの分野において対策を進めていくことになりました。
特筆すべきは、この9分野に『歯の健康』が介護予防やメタボリックシンドローム克服、がん克服等と並んでとりあげられていることでしょう。
食の選択(食育)、子どもや女性の健康、こころの健康などもとりあげられていることも興味深いことです。
また、これらの取り組みを進めるにあたり、健康を家庭・地域で支援していくことや進展を続ける科学技術力を的確に活用することで、高齢者や要介護者・障害者等の能力を補完・増強し活動領域を広げることを可能にしていくことなども挙げられています。
『歯や口腔の健康』は、メタボリックシンドロームをはじめ、そこから生ずる脳卒中や心筋梗塞といった疾患、がん、認知症、うつ病、介護予防・要介護者の重度化防止といった疾患の重点分野にも非常に深く影響しています。
健康施策の3本柱ともいえる“栄養”“運動”“休養”それぞれにまたすべてのライフステージにおいて、厚生労働科学研究などさまざまな研究により歯の健康が関与していることが裏付けられています。
特に栄養については、機能的な側面もあり、歯の状態により栄養バランスに偏りがでることがわかっています。
運動、休養(心の健康)についても関連性を示すデータがあり、歯および口腔の健康が健康要因、疾病要因の両方を兼ね備えているということが国に認められ、重点9分野に対して歯科の観点から具体的な施策をたてていこうという非常に意義深いものです。