QOL向上のために歯科医療にできること:MI21.net

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健康増進法と日本のヘルスプロモーション

2003年5月に施行された『健康増進法』は、オタワ憲章のヘルスプロモーションの概念(P41 参照)に基づき、すべての国民が健やかで心豊かに生活できる社会環境づくりのために、健康寿命(認知症や寝たきりにならない状態で自立した生活ができる期間)延伸、そしてQOLの向上を実現することを目的として制定されました。

これは、2000 年に厚生省(現厚生労働省)から出された『健康日本21』の法的支援としての側面も持つため、その中に取り込まれていた「歯の健康の保持」が法律の中に明記された、歯科界にとって非常に意義深い法律です。
これには、あくまで国民主役のもとに歯科医院を含む医療の専門家、国はもちろん市町村や都道府県などの行政、健康保険組合など社会全体で支援していくことが重要であるとしています。

健康増進法

健康増進法の推進方策にも挙げられているように健康診査の実施について、厚生労働大臣より指針が策定されており、健康診査の重要性がうかがえます。ここでは、2次予防の早期診断にあたる疾病があるか否かの「検診」ではなく、あくまで「健康診査」と言っています。これはその言葉の通り健康状態の診査であり、1次予防として考えられるものでしょう。健康診査指針では『健康診査は結果を通知するにとどめず、その結果に基づき保健指導を実施し、健康手帳などを活用して継続的な健康管理に役立てる』としています。
国民が自分の健康状態を認識し、問題があればその改善に向けて歯科医院や行政を含む社会の支援を受けて、国民自身が自発的に健康を改善する能力を身につける、これこそオタワ憲章でも謳われたヘルスプロモーションの基本であると言えます。しかし、すべての保健センターや企業等に歯科医師や歯科衛生士が勤務していない現実を考えると、法制化しても特に成人歯科や老人歯科などの健診業務は行政や職域ではなかなか難しく、継続的な健康管理は地域の歯科医院が主力となって臨みたいものです。

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